杭州、春の西湖とお茶を楽しむ旅

3月の杭州、霧雨がしとしと降る。雨水に沁みこまれた春芽と若葉はより蒼翠になった。柳のなよなよとなびく西湖蘇堤であれ、緑が溢れる山並みと合わせる梅家塢茶園であれ、まるで神様は最も活気のある色で杭城を彩ったようだ。霧雨の降る杭州でゆっくり歩いたら、西湖の絹織傘を差し、柔らかい春風に当たり、霧雨の降る杭州でゆっくり散策したら、こんな人間天國で誰でも心からの気持ちは少しずつにじみ出られるだろう。


西湖は杭州のおかげで、有名になった。杭州は西湖があるこそ、名声を得たのだ。よく知られた「中国印象」とや「江南印象」は西湖を遊覧する観光することによって体験できる。西湖の湖畔は絶景がきれいなだけでなく、西湖龍井茶を賞味する満ち足りた様子はもちろん、線香を上げる心安さ、シルクに触った喜び、「梁山伯と祝英台」協奏曲を鑑賞するロマンスも十分に味わえるはずだ。西湖は、完全に心と体をリラックスさせる場所に決まっている。

春は堤から歩いてくる

西湖は十大景観があり十景を持ち、「蘇堤春暁」は西湖十景の一番だ。蘇堤は西湖の南北をに貫き、全長は2.8キロメートに至る。蘇軾が杭州で就任した時に、人夫を集めて西湖を浚渫し、土砂で蘇堤を造った。春になると、数多くの柳と桃が植えられた蘇堤は赤と緑のリボンのように、青い波がゆらりゆらりと揺らいでいる西湖の上に漂っている。

蘇堤を歩いたら、至る所はすべて美景だった。蘇堤の南口から北へ6つの石橋が架けてある。途中で見た景色は絵巻を広げるように様々な風情がある。映波橋は一番目の橋で、橋から眺めると、雷峰塔は厳しく鬱蒼した低い山に聳え立っている。また、鎖瀾橋に入ると、近くに湖心島小瀛洲が見られる。遠くなら保俶塔が眺望できる。湖は鏡のように日光を反射しており、空濛した山景は近く見ると明晰で、離れるとまた漠然になる。望山橋から眺めると、西湖に隠されている「三潭映月」は目に入る。特に夜には、遠くの三つの石塔が微かに光っているのが見える。「蘇堤春暁」の亭碑は圧堤橋の南側に立っており、西湖を一望することには最適な場所の1つに違いない。湖上に湖心亭が立ち、舟一艘できれいな風景が満喫できる。東浦橋なら湖の向こう側に近く、沿岸に立ち並んだ楼閣とあずまやは一度に見きれない。跨虹橋は6つの橋の中で一番長い橋で、まさに名前通りに長い虹のように北岸で架けられ、蓮池を渡った。 

蘇堤は西湖の春を呼び覚ますところなのだ。柳道に抜けて6つの石橋を渡して、必ず堤及びその風景と次々に巡り合い、応接に暇がないほどサプライズが出てくる。

春は茶園で小憩する

春の早朝、杭州の低い丘陵上に雲霧がたなびく。雲間から漏れた日光は梅家塢を照らし、もはや忙しくなったんだ。茶摘み隊は多彩な服を着て小笠をかぶって腰に竹籠をしかけて青々しい茶畑で働いている。彼らの姿は碧玉上で散った花のように煙雲と共に進んでいる。物慣れた手つきでお茶の葉を摘んで、彼らの笑い声が茶畑で響き渡った。この笑い声は春の梅家塢に新たな活気を与えたのだ。

杭州は「中国茶都」と称されている。「西湖龍井茶」の名声は中国のみならず、海外までにも響いている。「好山好水産好茶」という諺がよく言われているが、十里梅塢は山や、水、塢、村が揃ったため、杭州なら梅家塢ほど美味しいお茶が飲める所もないだろう。梅家塢は杭州の郊外で茶郷の雰囲気が一番濃い農家自然村でもあり、茶文化観光・レジャー旅行エリアでもある。

お茶の価値は既に翠緑の茶っぱ自身の価値を越え、湯呑みの中には、五臓六腑に染み渡ったお茶ではなく、意味深長な茶道も含まれているだろう。お茶は最高のおもてなしでもあり、自己修養の参禅修行でもある。梅家塢の茶畑で、龍井茶を一杯入れ、少々経てば、湯呑みの中の茶っぱが底に沈んでいく。頭を上げて、果てない空には雲が集まったり散らばったりし、心身もすごく気楽になれるだろう。すべての憂愁はこの美しい景色で消えてしまった。昔からよく言われたように、「若無閑事掛心頭、便是人間好時節」。

春はシルクロードへ歩いて行く

春蚕は糸を吐き、糸はひょろ長くて軽いのだ。約6000年前の中国では、人々は既に生糸で織物を作る技術を把握した。生糸からできたシルクは快適で柔らかくて、きらきらと透き通って見える。シルクを触ると、春風は指と指の隙間を掠めた感じがする。賢くて器用な刺繍娘たちは一針一針でシルク上に精巧で美しい模様と図案を縫い取って、いかにも春風に花束が咲き乱れたようだ。

中国シルク博物館は全国的な絹織物の専門博物館であり、また世界で最大の絹織物博物館でもある。博物館は西湖の湖畔にある玉皇山の麓に位置する。博物館では大量の絹織物と歴史資料が並んでおり、歴代の絹織物の文物を始め、普段着、家庭用絹織物、当代シルクのアートワークなどはたくさん揃っている。館内で見学している間、多様な絹織物といい、数千年以上に渡るシルクの変遷といい、中国の輝かしいシルク文化に感心してならない。

現在、「中国絹織物の製糸技術」は人類無形文化遺産として登録したが、かつて西向きのみのシルクロードも徐々四方八方へ向かわれるようになった。中国のシルクとシルク文化は生気に満ち溢れている春に歩いていくのだろう。


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