色鮮やかな布に綉された乾坤:無形文化遺産である布老虎の芸術的魅力

布老虎(虎のぬいぐるみ)は非常に田舎の風情を持つ民芸品で、室内装飾や贈り物、個人のコレクションとしてよく用いられる。

布老虎の歴史は非常に古く、その原型は原始社会のトーテム崇拝にまでさかのぼることができる。古代において虎は強大、勇敢そして吉祥の象徴とされ、人々は畏敬の念を抱いていた。この感情が次第に民間芸術の創作活動に取り入れられるようになった。

中国古代の虎符

時間の経過とともに、布老虎は異なる歴史的時期にそれぞれ異なる形態とスタイルを呈してきた。

漢代(紀元前202年 - 220年)において、虎の形象は様々な工芸品に広く見られるようになり、その造型は簡潔で質朴、線は力強く、当時の雄大な芸術様式を体現していた。この時期には布老虎の製作技術が原型を成していた。

唐宋期(唐代:618年 - 907年、宋代:960年 - 1279年)になると、社会経済の繁栄と共に民間手工芸も盛んになり、布老虎の製作技術はより精密になり、色彩の使用も豊富になった。製作者たちは製作時に更なる創造性と工夫を加え、その形状をより生き生きと活気に満ちたものにした。

明清期(明代:1368年 - 1644年、清代:1644年 - 1912年)には、布老虎は民間に広く伝わり、各家各戸で幸福と福運を招き入れる重要な品物となった。

中国の各地域や各民族には風俗習慣の違いがあるため、布老虎は地域ごとに異なる装飾や姿勢を持っている。穩重で静かなタイプもあれば、非常に活気があり愛らしい、あるいは機敏で可愛らしいタイプもある。

山西省黎侯鎮の布老虎

国が誇る文化の名刺である山西省黎侯鎮の布老虎は、四肢が太くてたくましく、頭を高く上げて立つ姿に武将関羽の風格を見ることができる。陝西省関中地方の布老虎には、「五毒」(蛇、ムカデ、ヤモリ、サソリ、カエル)の模様がよく見られる。擬人化された河南省淮陽市の布老虎は、初期の人間の繁殖崇拝を具現化し、象徴化したものである。山東省各地の布老虎は頭部のデザインに重点を置き、虎の雄大さを表現しているが、口元はまるで笑っているように上向きに湾曲させられ、百獣の王が愛らしく親しみやすい姿となっている。

陝西省宝鶏市の虎帽子

河南省淮陽の虎頭枕

山東省の布老虎

布老虎の製作工程は複雑で、材料選び、裁断、縫製、詰め物、装飾など多くの細かい工程を経る必要がある。そして、これら全てが手作業で行われる。出来上がった布老虎は色彩が鮮やかで、かわいらしくてごろっとした造形になっており、職人たちの素敵な生活に対する願いが込められている。


寄稿者:風禾


ABOUT US