2025年4月13日、大阪・関西万博はいよいよその華やかな幕が上がった。今回の万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、世界中の英知が集い、人と自然が共に生きる未来のビジョンを描き出す。その中でひときわ注目を集めるのが、中国パビリオンである。竹簡の形を模した外観には、五千年の文明が静かに息づいている。甲骨文に響く悠久の声から、宇宙開発に象徴される現代の躍動まで──古と今、科学と人文が織りなす、不思議で詩的な旅が、ここから始まる。中国パビリオンは、訪れるすべての人々に、人類文明が持つ永遠の美と可能性をそっと語りかける。
建築の美しさ——竹簡に綴られた五千年の文明
中国パビリオンは、3,500平方メートルという規模を誇り、万博会場内で最大の外国自前パビリオンとして登場する。その建築デザインは、中国古代の竹簡の長巻から着想を得たものである。金文・篆書・隷書・行書・楷書という五つの書体で刻まれた119首の漢詩が、まるで時を超えて語りかけてくるようで、訪れる人々を悠久の文化の旅へと誘う。
「朋あり遠方より来たる、亦た楽しからずや」──孔子のこの言葉のように、中国パビリオンは文化を語らう場所であり、未来を見つめる舞台でもある。竹簡という古いメディアが、現代のデジタル技術と融合し、「人と自然が共に生きる未来社会──共生のグリーンビジョン」を鮮やかに描き出す。
中華文明の趣——科学と人文が織りなす没入の旅
「天人合一」エリア
中国パビリオンのエントランスに広がるのは、中華文化の趣と科学技術があふれる没入型の映像演出である。常沙娜氏による「天人合一」は、敦煌壁画の美と、蓮や鳳凰といった自然モチーフが融合し、春夏秋冬・二十四節気の変化を鮮やかに映し出す。伝統芸術がデジタル技術によって新たな命を吹き込まれる瞬間と感じられる。館内には商代の青銅神樹や獣面冠人像、青銅面具のレプリカもいくつ展示されている。3Dタッチパネルと多言語解説により、誰もが中国古代文明の輝きを臨場感たっぷりに体感できる。さらに、天井から流れる「文字の滝」では、甲骨文から宋体までの書体変遷が光の川となって降り注ぐ。
「緑水青山」エリア
ここでは中国の自然保護と都市づくりの成果が、親しみやすく展示されている。都江堰の水利技術、三北防護林の緑の奇跡、国家公園の豊かな生命。それらがかわいいキャラクターや映像で紹介され、子どもから大人まで楽しめる空間である。
1階と2階をつなぐ木彫りの通路では、日中文化交流の名場面が描かれている。阿倍仲麻呂と李白の詩の交流や、孫悟空と鉄腕アトムの“兄弟”のようなアニメ友情など、時代と世代を超えた心のつながりがあたたかく蘇る。
「生生不息」エリア
2階では、宇宙と深海を舞台にしたダイナミックな展示が展開される。「蛟龍号」潜水艇で7062メートルの深海を探索した偉業や、宇宙から宇宙飛行士のメッセージを、観客が五感で体験できる。常沙娜氏による隋代の「飛天」と月壌標本が空間で共演する。歴史と宇宙が美しく交差するロマンチックなひとときを味わえる。
未来都市のモデル「スマートシティ」では、エネルギー・医療・生態・など8つの機能が「都市の脳(AI技術)」によって有機的に連携する。国産AIで生まれた“デジタル孫悟空”が、詩を詠み、絵を描き、来館者と多言語で自由に対話できる。バーチャルとリアルの境界線が、ここで静かに溶けていく。
入場時に配布されるオリジナルのブークマークは各展示エリアでスタンプやQRコードを集めていくと、最後に巨大なデジタル絵巻の一部として、あなた自身の“印”を残すことができる。
友情の架け橋——中日文化の響き合い
中国パビリオンは、国境を越えた芸術の対話で幕を開けた。日中友好を記念する舞台芸術作品「(朱鹮)トキ」や、伝統的な獅子舞のパフォーマンスが披露され、芸術という言葉を超えた表現で、両国の心をつなぐ友情の架け橋が築かれた。
7月11日の「中国パビリオンデー」は、偶然にも「中国航海日」と重なる。この特別な日程は、鄭和が七度にわたり西洋へ航海した平和友好の精神を継承すると同時に、新時代における文明間の対話を象徴するものでもある。
会期中は、中国の30ぐらいの省・自治区・直轄市が、没入型の文化展示、最先端の技術体験、そして個性豊かな舞台演出を通じて、日本をはじめとする世界の来場者に中国文化の魅力を余すところなく伝える。
ここでは、中日両国の友人たちが文化・芸術をはじめとする様々な分野で交流を重ね、両国民の友好と協力の新たな章が紡がれていく。
今回の中国パビリオンの展示は、科学技術とイノベーションの祭典であると同時に、文化と友情の対話の場でもある。この未来への旅を出発点に、美しく奥深い中国の物語をぜひ探してください。
寄稿者:江蘇観光(日本)ピーアールセンター