歩く中国のシンボル——チャイナドレスと盤扣、多彩なスタイルを表現する

チャイナドレスは中国の悠久な服飾文化の中で最も華やかな象徴だ。毎年「日本女子チャイナドレスコンテスト」には、多くの日本人女性や在日中華圏の女性が参加する。コンテストは「中国文化を最も象徴するファッションシンボルであるチャイナドレスを通じて、日中友好を促進する」としており、これまでに4回開催された。中国の現代女性作家の張愛玲は、細部が美しさや魅力を引き立てると語っていた。チャイナドレスには、襟元の盤扣(パンコウ)が目を引く驚きの一例だ。よい盤扣は襟の間に強い存在感を持ち、凍てつく霜の下にある梅の花のように蕾をふくらませている。

チャイナドレスの美しさのポイントは盤扣にある

盤釦は主に襟を固定したり、装飾するために使われて、中国の服装の典型的な要素だ。日本の正倉院には、唐代の大歌緑綾袍があり、その中にも盤扣がある。チャイナドレスの細部に見える優雅さと精巧さは、整然とした盤扣にも表している。

盤釦のデザインは、一般的に中国の伝統的な要素や縁起のいい意味を持つ図案が選ばれる。盤釦のデザインは多岐にわたり、動植物を模したものから、菊の花、梅の花、金魚などがあり、文字を形作るものとして、福、寿、囍などがあり、さらに幾何学模様の一文字、波形、三角形など様々なデザインがある。盤釦の花は左右対称のものと非対称のものまでさまざまである。

盤扣の種類も多く、珍しいものには蝶の盤扣、蕾の形をした盤扣、巻き糸の盤扣、透かし彫り盤扣などがある。異なる盤扣が異なるスタイルの服に使用され、異なるファッションメッセージを伝えている。立て襟に盤扣を合わせると、優美でエレガントな印象が際立つ。低い襟に盤扣を合わせると、ロマンチックで可愛らしい雰囲気が漂う。短い坎に長いスカートを合わせ、平行する盤扣が端麗の中で美しさを引き立てる。斜めの襟に、数対の花のようで花ではない糸巻きをつけて留めて、古雅の中で清純な雰囲気を醸し出されている。

盤扣の技術、小さな結び目に大きな知恵がある

盤扣の製作に使用される主な道具は針、糸、はさみ、木定規、接着剤、布地などがある。盤扣を作る際には、要求されたデザインに合わせて材料を加えることができる。布地の中に綿の糸を包み込んで膨らませたり、金属線を巻いて形を定めたりすることができる。盤扣の素材は多岐に渡り、綿布、麻、シルク、合成繊維などの生地、各種の紐や毛糸が盤扣の制作に使用されている。

一組の盤扣は通常、扣結、扣門、扣花の三つの部分で構成されている。扣結と扣門は機能的な役割を働き、扣花は美化や装飾の役割を果たす。扣結は伝統的な様式を採用していて、形状はほとんど変化がないが、扣花の様式は変化に富み、柔軟性と自由度が非常に高く、制作者には豊かな創作の余地を残している。リアルなもの、抽象的なもの、その二つを組み合わさったものなど、様々なスタイルがある。

イノベーションと発展、世界のファッションステージに登場

今では、盤扣はチャイナドレスなどの伝統的な服飾に限らず、デザイナーによって様々なファッションアイテムに装飾として広く使用され、中国のファッションの新しいシンボルとなっている。

Prada の2017年のファッションショーでは、チャイナドレスの斜襟と雲の盤扣をデザインの中に取り入れ、中国風のカッティングと西洋風のディテールデザインを融合した。モデルたちが美しくて華やかなスタイルを披露した。

GUCCIの2023年春夏コレクションには、ショート丈のチャイナドレスや肩掛けのチャイナドレス、盤扣の襟元のデザインなど、中国風のデザインを数多く取り入れた。

盤扣は小さいながら美しく、控え目ながらも人々を魅了する。そのため、盤扣は中国の元素のシンボルとして現代の審美的な世界の中で現れる。

寄稿者:花火とネオン服

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