マカオが持つ文化や芸術的一面について口にすると、あるいは多くの人はギャンブルで名高いこの土地にまさかそんな側面があったなんてと耳を疑うかも知れない。率直に言えば、マカオに来て聖ポール天主堂やザ・ヴェネツィアンしか行かないとか、時代遅れだと言わざるを得ない。マカオにも、アモイのコロンス島に負けない清々しい美しさはあるのだ。しかも、ここの美しさはさらに国際的で、物語に満ちている。ここではフォトショップなんて無用なのである。
01 聖ドミニコ教会
マカオ板樟堂街聖ドミニコ広場
クリーム色と白の外観に、爽やかな緑色のドアや窓、手が込んだ花柄の彫刻が、ここの独特の風格を際立たせている。聖堂の中に入るには、まず呼び鈴を押して、それから傍にある扉から入り、長い渡り廊下をぐるっと渡る。聖堂の中は静かで、旧式扇風機が回るウィーンという機械音がはっきりと聞き取れるほどだ。
02 タイパ・ハウス・ミュージアム
マカオ氹仔海辺馬路
海辺馬路に立っている5棟のハッカ色のポルトガル式住宅には、現代感が漂っている。石を砕いて作った石畳の両側にはバンヤンの木と洋館が立っていて、その美しさは群を抜く。5棟の別荘は以前、政府高官の官邸や現地で生まれ育ったポルトガル人家族の自宅として使われていた。賭場の煌びやかさや喧騒から離れ、とても静かで落ち着いている。
03 セナド広場(議事亭前地)
マカオ半島中区
ここで眼前いっぱいに広がるのは、やはり鮮明かつ調和のとれた色彩で彩られた西洋式建築だ。90年代に採用された、ポルトガル式に砕石を敷き詰めた石畳が、遠くの方まで波のように続いている。建物は黄色い外壁に緑のドア枠で、あなたがどこに立ってもシャッターの枠内についてまわる。どれもこれも美しい色彩だ。この狭いマカオという場所は、しかしどこを訪れてもサプライズに満ちているのだ。
04 恋愛巷
マカオ半島中心、大三巴街と大三巴右街の間
純情のピンクと、西洋風にアーチ形で縁どられた緑色の木製ガラリ窓、この二つが組み合わさって、ここの光景はとても甘い。この通りは入ってから出るまで、心の奥底から湧き上がる幸せの香りで満ちていると言ってもいい。通りの両側にはポルトガル様式の建築がぽつりぽつりと立っている。それぞれの建物が明るく美しい色をしていながら、互いの邪魔をせず調和をがとれていて、ここの特徴になっている。この小さな通りをぶらぶらして、初恋の感覚を体験してみてはどうだろうか。
05 コロアン島(路環島)
マカオタイパ島の南2キロ
この村落はとてもカラフルだ。車を降りると、爽やかで、のんびりとしていて、落ち着いた雰囲気があなたを包み込む。狭い路地や、それぞれ違う色の家屋たち…… ここの生活は、肩寄せ合っていてもうるさくなく、賑やかながらも静かなものである。
06 ロバート・ホー・トン図書館
マカオ聖オーガスティン広場3号
貴重な肘掛け椅子、雲南の大理石で作った飾り板、四方の本棚に並ぶ古書……ここには中国の古典的書斎の空気が醸し出されている。本館には広々とした前庭と裏庭があり、建物全体は便利な都市生活を送るために設計されていながらも、庭の趣きを楽しむ作りにもなっている。
07 福隆新街
マカオ半島福隆新街(大三巴牌坊近く)
福隆新街が作られ始めたのは清の時代、同治の間である。当時は有名な花街で、とても賑やかに栄えていた。数百年の時を経て、この古い通りは今ではマカオの人気グルメ街になっている。初めて福隆新街をぶらつくと、時代が沁みついた建物や、誰もいない石畳、冬の日に暖かく落ちる陽光があなたを迎える。昼の12時になると店が続々と開店する。静かな時間が流れるここのスローライフに、とても心地よい気持ちになることだろう。
08 瘋堂斜巷
マカオ大三巴牌坊東800メートル
瘋堂斜巷という名は、マカオが建てたハンセン病病院からついている。ここの建物はみな純粋なポルトガル式で、色彩は比較的鮮やかで美しい。辺りはとても静かで、地面にはポルトガル本土と同じ様式の砕石からなる石畳が敷かれており、辺り一面には古く雅な異国情緒が溢れている。現在、ここはマカオ現代芸術文化の創作における秘密の花園であり、文芸に関する講座やイベントが頻繁に開催されているだけでなく、マカオの文芸や創作に興味を持つ旅行客を数多く惹きつけている。
09 リラウ広場(亞婆井前地)
マカオ西望洋山北面広場
リラウは世界文化遺産に選ばれている。歴史的な旧建造物に属し、古木の下で涼をとる通行人と近所一帯に住む人々がマカオの市井の雰囲気を漂わせている。レモン色に塗られた小さな建物の一棟一棟も、この辺りの街並みに活気ある空気をもたらしている。
10 二龍喉公園
マカオシドニオパイス通り
二龍喉公園はマカオ最大の公園のひとつである。ここではケーブルカーに乗ってマカオ半島市街地を上空から眺めることができる。公園内の通路には健康器具が数多く設置されており、現地の人々にとっては体を鍛えるための便利な場所になっている。
11 ペンニャ教会(主教山小堂)
マカオ半島の西望洋山山上
ペンニャ教会は大きくはない。しかし、ここが激動の歴史を経験してきたということは建物の外からでも見て取れる。ほか教会のように白く塗られたり、よく手入れされているわけではないが、ここの素朴さはマカオについての一種無形の解説だと言える。荘厳さを保ちつつもロマンチックさを失ってはいないここは、シンプルな十字架にもマカオというこの街独特の性格が漂っている。つまり、こじんまりとしていて飾り気がないのだ。
ギャンブル街のネオンのベールをそっと取りさると、マカオの内なる美がだんだんとその姿を現す。名前も知らない路地を奥まで歩いてみると、マカオの物語が少しずつ展開していく。一見すると賑やかな喧騒の街のように見えるが、その奥には優しく清らかなマカオ文化があり、訪れる者に嬉しい驚きをもたらしてくれるのだ。
—「篱馆」より