ともに南通で風を追おう

南通は江蘇省南東部に位置し、東は黄海、南は長江に望む。「黄金海岸」と「黄金水道」を擁し、地の利を一身に集めるこの街は、大河の風と海の響き、そして見る者を惑わす景色ある場所だ。南通は「中国近代第一の都市」であり、世界初の「長寿の都」にも選ばれた場所である。国際大都市上海に隣接するため、「北の上海」という名も持つ。

ほとばしる長江と海はこの街に先取の気風を与え、真珠のように輝く重厚な人文の素養を育んだ。川を追って海を追い、波を踏んで風を追う。ここにはあなたを深く震撼させた美しい風景があり、そして江海から心を潤す自由な風がある。さあ、春が来た。ともに南通で風を追おう!

東風に乗じて凧を放つ

春風が吹くと日増しに暖かさが増してくる。草木が芽吹き、葉を伸ばし、鶯が枝から枝へと飛ぶ。凧あげのベストシーズンの到来だ。南通に来るなら歌う凧「板鷂風筝(バンヤオフォンジョン)」を見よう。南通で盛んに生産されている板鷂は中国でもまたとない凧で、板鷂風筝の制作技芸は国家無形文化遺産リストにも登録されている。

板鷂は古めかしく素朴な外形をしていて、とても大きく、精細な絵柄が施されている。南通風筝は六角形を基礎として、変化をつけながら直列に組み合わせて組み立てられる。南通風筝の最大の特徴は呼子だ。凧の表側には数十から数百もの大小さまざまな呼子がついていて、空に放つとそれぞれ違った響きの音を出し、勇壮な空中交響楽を奏でる。まるで空を切り取る編隊飛行のような轟音が耳をつんざき、長江や海波のように怒涛の勢いで凄まじい。世界の凧のなかでも唯一無二で、初めて見て震撼しない者はいないと言っていい。

絶技なしに板鷂風筝を揚げるのは至難の業だ。大板鷂の場合は何人かで協力しないと揚げることができない。飛ばすときにはある程度の風力が必要で、大板鷂は6級以上の風力を必要とし、小板鷂も5級の風力を必要として安定的に上昇し、「演奏」することができるのだ。幸いなことに、南通浜江は長江に面し海に臨み、大風が吹いてきて、板鹞が昇るのを助けることができる。板鷂が風に乗ってどんどんと空に昇っていくのを眺めていると、言い表しようのない喜びと興奮が胸に溢れてくる。

春風が吹くたび緑を増す狼山の美

長江の畔から風が吹く度に狼山はいっそう緑を増し、鮮やかな花々も咲き乱れる。春の狼山は南通の美しさのすべてを見せてくれる。中国仏教八小名山の筆頭、江海一の山である狼山には底なしの魅力がある。この山に登ると「遅日江山麗しく、春風花草香し」の美しさを切実に感じることができるはずだ。

曲がりくねった山道に沿って階段を一歩一歩登っていくと、古木、東屋楼閣、ひっそりとした坂、梅咲く坂道など、まるで古朴な絵巻物に描かれた絵のような風景が眼前に広がっていく。山中には古跡や石の刻字が数多くあり、人々をそばへと引きつけている。狼山の山頂に登ると、白絹を引いたかのように美しい長江と重なり合う険しい山々が遠望でき、山水の景色を心ゆくまで味わうことができる。長江から吹く風に吹かれながら軽く呼吸すると、あらゆる悩みや煩わしさはたちまち癒され、安らかな心になる。

狼山の麓の浜江体育公園の緑(删)草は緑の絨毯のように美しく、歩くと非常に快適で気持ちがいい。遠くの山はまるで眉墨のようで、薄靄の広がる広大な長江が東へとごうごうと流れ、フェリーがゆっくりと汽笛を鳴らしながら遠くへ去っていく。どこを切り取っても絵や写真に残しておくべき光景だ。

柔らかな海風が届けてくれる新鮮な美味しさ

南通の円陀角は日の出のいちばんの鑑賞地であり、江蘇省でもっとも早く朝日を迎える場所だ。春、ここを訪れて静かに日の出を待ちながら、潮風を感じよう。円陀角から遥か遠くまで見渡すと、江、天、海が連なり、日の出はとりわけ美しく壮麗に見える。

日の出を眺め終わったら、黄金海灘に行って貝を拾ったり、砂を掘って宝探ししたりしてもいいだろう。あるいはミニ列車に乗って波の音を聞き、耳元でささやく心地よい潮風を感じながら、海と空のロマンを満喫しよう。

円陀角から遠くない呂四漁港の埠頭にはマストが林立し、旗がはためき、たくさんの船が飛び出していく。ここは生活の新鮮な美味しさを捕らえるために遠洋漁船が大海原へと向けて疾駆していく場所だ。たっぷりと魚を積んで帰港した漁船が湾内に続々と着岸すると、新鮮で活きのいい魚やエビカニは待ち構えていた仕入れ商人たちの手で素早く仕分けされたあと、各地へと送られていく。

春の呂四漁港は忙しいだけではない。旬の海鮮が逸品ぞろいなのだ。早春のガザミはいちばん脂がのっている。ハマグリも春になると美味しさを増し、エビも肥えて美味しい。ほかにもヒナギヌガイ、マテガイ、カキなど、美味しいものがたくさんだ。呂四仙漁小鎮に行くと、海の幸を一通り味わい、爽やかな春の味わいを舌で感じよう。

寄稿者:江蘇観光(日本)ピーアールセンター

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