かねてより黄海の明珠という美称を持つ、江蘇沿海部中部にある東台。世界レベルの品質の湿地生態観光資源を擁するこの大地では、海と空が寄り添い、草木が生い茂り、鳥羽ばたき鹿鳴く、そんな原生態風景が広がっている。
幾重も重なり染まった黄海森林を眺めると、海浜の風情と浪漫がその姿を現す。漁民の舟歌を聞くと、物語が活き活きと始まり、灘涂湿地に群れる鳥たちが楽し気に鳴き声を上げる。海沿いをそぞろ歩きしたり、海鮮を味わったり、レジャーやバカンスを楽しんだり、ドライブの楽しみをどっぷり感じたり……そんな青く染まった港の旅に浸ってみよう。心休まるここは景色だっていい。いろいろ行ってみたけれど、それでもやっぱり東台なのだ。
旅游公路1号線の撮影旅行
「いちばん美しい海陸風情の道」と呼ばれる東台旅游公路1号線をドライブして、杉林の風景から湿地の秘境まで大自然の癒しの響きを尋ねる、そんな妙趣溢れる撮影旅行に出てみよう。海に沿って敷かれた全長50㎞の道路は弶港鎮、黄海森林公園、世界遺産条子泥、全国生態文化村巴斗村などを繋いでいる。ときには車を止めてぶらりと歩き、実際に自分の足で探索してみると、嬉しい驚きに出くわすかもしれない。
東台旅游公路1号線に沿って出発し、黄海の畔を一路行けば、中国黄（渤）海渡り鳥生息地（第一期）核心エリア――条子泥湿地を通る。海に向かって伸びる独特な「潮汐樹」、風に揺れる雪のようなアシの花、真っ赤な絨毯のように広がるサバクヨモギ……干潟の風景と港の景色を眺めながら、渡り鳥やシフゾウと近距離で交流すると、その一枚一枚がとっておきになる。
途中、黄海森林公園を一度遊覧してみよう。ここは中国華東地区最大規模の人工生態林公園であり、毎年冬になると金色、朱色、琥珀色へと徐々に染まる杉がどこまでも広がり、壮観だ。イチョウ、イロハカエデ、モミジ、ナンキンハゼなどの木々も色とりどりに色づく。高さ41メートルの展望台「森林の眼」に登れば、大自然が描き出す冬の油絵を余すことなく一覧できる。
黄海の畔、巴斗村で暮らす
黄海森林の隣にある巴斗村は「漁文化第一の村」という誉れを持つ。入り口から村へと足を踏み入れると、濃厚な漁家風情がどっと押し寄せてくる。漁文化を訪ね歩いたり、漁港の海鮮を味わったり、海浜民宿に泊まったり、老船長小屋や紅帆橋などのおもしろスポットを一目見てみたりして、漁師たちのスローライフに出会うことが可能な場所だ。
満ち引きする潮と夕暮れの海に浮かぶ漁船から聞こえる舟歌――力強く高らかに響き渡る無形文化遺産「弶港漁民号子」は、巴斗の漁民たちと海の物語について語っている。漁村にはもちろん物語もあれば美味しい食べ物もある。人気街区の海鮮街には巴斗海鮮餅、巴斗海鮮包、巴斗烤蝦などの小喫だけでなく、国の農産品地理的表示産品である弶港文蛤（ハマグリ）、弶港泥螺（ヒナギヌガイ、現地では黄泥螺とも）もある。どの漁家楽（漁民民泊）を気ままに選んでも、本場の海鮮フルコースを味わうことが可能だ。
巴斗村には「江蘇省休閑漁業示範基地」である三水灘度假村がある。度假村の入り口にはオーシャンビューのレストランがあり、美しい風景と美味しい食事を用意している。ビーチの海水浴場で水遊びやサーフィンをしたり、観鳥大で海から登る朝日や軽やかに舞う希少鳥類を眺めたり、海に行って海上フィッシングやカヤック体験をしてみたりと、漁村の生活は多種多彩だ。村内にある紅帆客桟、花海居などはどれも優れた海浜民宿で、大海原に面したレジャー・リゾートの時間が凝縮されている。
無形文化遺産グルメの昔ながらの味を尋ねる
冬の健康はまず食にあり。奥深く濃厚な東台無形文化遺産だが、美食文化の堆積はさらに深く厚い。東台を離れる前には西渓古鎮に行って現地の美味しい味を探し集めよう。朝の一杯の魚湯麺は東台人にとって子どもから大人まで食べなれた味だ。とろりと濃厚な魚のスープ、そしてつるりとコシがある麺を一口すすると、味覚と身体が共に目を覚ます。
西渓古鎮の草市街には東台の無形文化遺産グルメがまだまだ隠れている。100年あまりの歴史ある特色料理溱東老鵝は色つやが魅惑的で、ほろりと肉には味が染みている。後港羊肉は揚げ焼きする、炒める、揚げる、蒸す、茹でる、煮込むなど調理法も栄養も豊富だ。年季の入ったタレに漬け込んだ許河猪頭肉は調理技法に緻密にこだわっている。弾力たっぷりの食感で、まさにこの世の美味と言える。
東台の海鮮の旨さと鮮度は神がかりだ。黄泥螺（ヒナギヌガイ）は多くの東台人の記憶に受け継がれてきた故里の味で、市級の無形文化遺産にも選ばれている。巴斗黄泥螺制作技芸では、当地の良質なヒナヌギガイを使用、酒に漬け込んで食す。その味わいは独特で、香り爽やか、みずみずしく歯ごたえがあり、塩辛さのなかにも旨味が隠れている。西渓古鎮漢潮街の黄海魚肆ではヒナギヌガイなど、贈り物に上等の海鮮ギフトセットが購入可能だ。
寄稿者：江蘇観光（日本）ピーアールセンター
