理想的な田園生活とはどんなの?黄山の麓にあるこの争いのない町は答えを与えるかもしれない。水が山を回り、白い壁と黒い煉瓦、馬頭の壁の下に人々は生活している。多くの人が徽州に持つ最初の印象はここの美しい写真からである。
黄山の西南の麓に位置し、南は斉雲山、北は九華山に隣接するのは安徽省の黟県である。ここは黄山市にある最も小さな県城であるが、宏村、西递の2つの古い村落に頼って、無数の観光客を引きつけている。
1300年余り前、詩仙李白はこの地を遊歴し、「黟県小桃源、煙霞百里間」という絶妙な詩を書き、好む情が言葉に溢れている。黟県はどれほど美しいのか?ではここに隠されている江南の美しい思い出と独特な秋の風景を探しに行こう!
01江南の美しい思い出
碧山村
「山が高くて畑は広い、道路が刺繍のように交差していて、白い壁と黒い煉瓦が立ち並ぶ」、この青い石板と黄色の泥壁、そして稲田、白塔がしっかりと残っている徽派の古い家屋は、何百軒もある。村は大きくないが、訪れる価値のある所は少なくない。
碧山書局は清代の祠堂を改築したもので、CNNの「中国で最も美しい書店」に選ばれている。一階には様々な書籍や文化創意グッズが陳列されていて、二階はカフェとなり、そこから遠くにある山を眺めたり、中庭を見下ろしたりすることができる。
南屏村
南屏村は明清時代の古い建物を300棟以上持ち、言うまでもなく「迷宮映画村」、「天然のスタジオ」であり、映画「菊豆」はここで撮影されていた。南屏村には古い祠堂が立ち並び、中でも最も大きいのは叙秩堂である。明の成化年間に建設され、今から530年余りの歴史がある。縦横に入り組んだ古い路地を歩き、青い色の苔に覆われた煉瓦塀に触れることは、ただのぶらつくというより、映画の影を追いながら、時の過ぎ去る痕跡を探しているのだ。
木坑竹海
青々とした山、竹を通り抜く風、波打つ山々、木坑竹海は映画『グリーン・デスティニー』のために有名となった。既に晩秋になったが、ここの竹はまだ青々としている。竹の海に入ると、絶え間ない緑の波は数十軒の白壁と黒煉瓦の徽州の建物を引き立て、一種の趣がある。雨上がりの景色を見ると、緑の竹の奥には白壁の人家が隠れている。晴れた日に日の出を観ると、黄山の云海のようで、緑の浪がどこまでも続いていて、谷の中から月を見上げると、まるで天上人間のようである。
守拙園
丘の上に、湖一つ、五色の樹、七色の雲と高い塔。これが守拙園の風景である。陶淵明の末裔が住んでいる陶村にある守拙園は、その名が陶淵明の詩句「荒を南野の際に開かんとし、拙を守って園田に帰る」に由来し、建物の配置は周囲にある自然風景、家屋、水、橋などを利用し、園内は五歩に一つの風景、十歩に一つの絵となっている。
02魅力的な秋色
盧村
盧村の最も美しい時は早朝で、薄い霧が木を包み、白い壁と黒い煉瓦がぼんやりとしていて、詩や絵画のように美しい中国の山水画のようだ。朝の霧に加え、盧村のもう一つの目玉は「木彫楼」であり、二人の職人が20年をかけて丹念に彫ったもので、「徽州木彫第一楼」と呼ばれている。
塔川
塔川には塔がなく川もないが、「中国画の中の田舎」と呼ばれている。村の入り口及びその周辺地帯にはナンキンハゼが多く植えており、秋になると一面と赤くなっていく。10月下旬に入ると、塔川のナンキンハゼは段々と赤く染められ、また11月の中旬の霜降りが過ぎたら、秋の景色は最も鮮やかになり、赤、黄色、紫など色とりどりの木の葉を山いっぱいに飾り付け、白い壁と黒い煉瓦で構成された水墨絵のような古い家屋に引き立てられ、俗世間を離れて超然としている。
03舌先の上の黟県
黟県の美食といえば、安徽を代表する徽州料理に違いない。
毛豆腐
毛豆腐の表面には細長い絨毛(毛のような菌糸体、植物性タンパクの一種)が生えていて、知らない人はその姿に驚かされるかもしれないが、好きな人は箸が止まらない。毛豆腐を油で焼いたら、その表面が金色になり少ししわも出てくるが、食べると外はカリカリして中は柔らかい、豆腐は口に入るとたんに口の中で溶け、自家製の唐辛子のソースを添えると、少し塩辛さとピリ辛さが、ご飯がとても進むオカズになるのだ。
臭鳜鱼(臭いケイギョ)
臭鳜鱼は安徽料理の中で最も有名な一品であるが、皆がその発酵した、臭いようで臭くない匂いを受け入れられるとは限らない。漬け込んで発酵した魚をちゃんと洗い、焼いてから煮込み、筍、肉、唐辛子などの副菜を加えて魚のうま味を十分に出させる。魚の肉を箸で挟むと、その一枚一枚はニンニクのひとかけのようで、肉質がしっかりしていて歯応えがあり、汁も新鮮で、人々は絶対にやみつく味である。
腌篤鮮
黟県は山が多く、山奥の人家が山に糧を求め、山にあるものを食べている。竹林が密集している黟山は、黟県の人々に素晴らしい恵みを与えている。腌篤鮮は竹の子、新鮮な肉、塩辛いハムを一緒に煮たものである。最初の一口は、ぷんぷんする竹の子の香りとお肉の香りで、その次は後味が尽きないハムの塩辛い香りを楽しめる。