歴史感あふれる成都旅行の楽しみ方

中国で旅行と言えば、成都はどうしても避けることができない場所だ。「蓉城」、「錦城」、「天府の国」、そして「蜀中江南」。これらはすべて成都のことを指す。成都は生まれながらにして優雅で、心地よく、色鮮やかで、美しく、そしてのんびりとしている、昔ながらのロマン溢れる場所だ。

01 昔

寛窄巷子――「成都を代表するに最も相応しい路地」

成都に来て寛窄巷子をぶらつかないのは、北京を訪れ故宮に行かないようなもので、何か物足りない。

ここは観光地というよりも、成都の歴史が詰まった場所と言える。伝統芸能「川劇」やストリートミュージシャン、逸品ぞろいの特色ある小さなお店に伝統的な手作りの飴細工、成都名物の耳かきサービスや本物の人間が扮する銅像、そして定番の成都グルメまで、あなたが知っている成都の特色が、ここにはぎゅっと詰まっている。

錦里――「昔を思う人にこそ分かる場所」

青瓦が情緒豊かに入り乱れ、青石を敷いた道がくねくねと続く。ここは江南ではないものの、水郷の趣が滲み出ている。錦里で遊ぶなら、午後に来て、深夜までゆっくりするのがおすすめだ。高く吊り下げられた赤提灯に火が灯ると、瞬く間に赤がここの基調色となり、賑やかで幸せな雰囲気に包まれる。昼の錦里と夜の錦里とでは、まったく異なる世界を見ることができるだろう。

武候祠――「丞相の祠堂、何れの処にか尋ねん。錦官城外、柏森森」

錦里からほど近いここは、成都で最も人気がある巡礼スポットの一つだ。武候祠は西暦221年、三国時代の諸葛亮を記念するために作られた。赤壁に挟まれた小道を歩いてゆくと、歴史の激動の風がわっと顔に押し寄せてくる。壁のてっぺんの竹は生命の輝きを示しており、まるでここで歴史と現実とが一堂に会しているようである。

杜甫草堂――「中国文学史の聖地」

ここは唐朝(618年-907年)の詩人杜甫が成都を訪れた際に仮住まいしていた旧居である。彼はこの庵で4年暮らし、百首にものぼる詩歌を作った。唐の末期、詩人韋荘がこの土地を訪れて探し出し再建したことで、杜甫の草堂(庵)は現在に至るまでその姿を留めている。

青城山――「静けさ漂う神秘の場」

青城山は前山と後山に分かれている。峰々がぐるりと起伏し、木々が青々と茂るこの地は、「世界一静かな境地」という誉れを持つ。とりわけ夏は、この清涼の地にひっそりと入り込むと、道中の鮮やかな緑が目も心も楽しませてくれる。

02 今

成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地――「どこもかしこも国宝だらけの楽園」

成都を訪れてジャイアントパンダを見に行かない人はおそらくいないだろう。成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地では、山林の中に点々と豪華なパンダの「別荘」が設けられており、そこでは丸々と太った無邪気で可愛らしいパンダたちが自由気ままな生活を送っている。彼らの動きの一つ一つは非常にゆったりで、とてものんびりしている。

四川大学――「永遠に古びることのない文化」

街の文化を理解したいなら、その土地の大学キャンパスを見過すことはできない。四川大学には時代感溢れる生活区と歴史ある教学楼が入り乱れ、現代的な建物との対比により、その味わいを増している。自転車に乗ってキャンパスをゆっくりと巡ってみると、青春の吐息に満ちた文化の香りがすることだろう。

春熙路――「巡り巡る昔と今」

「ねえ、春熙路でぶらぶらしようよ」。成都人にとって、この言葉の魅力には抗いがたい。とは言っても、それはここが成都で最も栄えている場所だからではない。ここが成都を最も早い時期に繁栄へと導いた場所だからだ。時間という盛大な宴の中で、春熙路と歴史の流れとの繋がりを私たちはここにはっきりと見てとることができる。また、ここには流行やファッションが集まる場所、太古里もあり、ぶらぶらと歩いているうちに、ひょっとしたらあなたも次の街角ファッションモデルとしてデビューすることになるかもしれない。

03 味

成都にあるのは時代を巡る物語だけではない。ここのグルメも私たちをがっかりさせることはない。例えば、辛さを旨味が上回る鉢々鶏、美味しくて手が止まらなくなる麻辣兔頭、きな粉をまぶした紅糖糍粑、きりっと冷えて口当たりの良い氷粉などなど……成都に来て忙しいのは目だけではない。あなたの口も、きっと休む暇など与えてはもらえないだろう。

行き交う人で賑わうコンクリートジャングルの中で、成都は心を静めることができる桃源郷である。ゆったりと味わいある生活を送ることに長けている成都人は、粗茶を一杯淹れ、新聞を読み、生活の細々としたことをお喋りし、2卓並べて麻雀をして過ごす。時間なんてあっという間に流れ去ってしまう。

成都、四季がはっきりしないこの地では、冬でも木々は青々としていて、店のほとんども入口を開け放って客を迎える。あなたがどこの誰であるかは関係ない、ここを訪れさえすれば、私たちはもう「友達」なのだ。

—「環球旅行」より

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