冬の九寨溝、これこそ又とない!

もし九寨溝のハイライトを聞かれたら、私は迷わず秋だと答えるだろう。色とりどりの林が黄金色に波立ち、川や湖は青や緑で、息をのむほど美しい。しかし、冬に来た後にやっと気づいた。九寨の美しい彩りは白雪に覆われ、万遍なくしんとなって、天と地はただ青と白だけが残るとき、九寨は又とない景色になるのだ。

九寨は、ナショナルジオグラフィックに「一生に行くべき100の場所」と評されている。多くの人はその秋の絢爛たる姿を見たことがあるが、魔法をかけられた冬の九寨を見た人が少ない。白い雪は、九寨の湖、山林のために余白を残している。これは隠されている冬限定のロマンチックな世界だ。

九寨溝の冬は九寨の最も静かな時期だ。森は雪に覆われ、海子(湖)は深い青色をたたえ、すべてが絶妙に美しい。九寨の雪景色は、単なる白描ではなく、非凡な東洋の美学である。

九寨の魂は水にある。冬の九寨では水の魂は色があって、青色が湛える。五花海は秋の鮮やかさを収斂して、霧が立ち込めるなか、見渡す限りの紺色だ。

清浄きわまりない葦の海、めったに見られない氷瀑の青い光、雪の峰、松や杉が青く光る静かな水面に映って、この時の九寨の湖は女王の魔鏡のように、この地の又とない景色を照らし出している。冬の寂静が加わると、千年にわたって石灰化した枯木も静かに水底に沈んでいる。

「九寨より来たり水を見ず」と言われている。多くの人は九寨溝に入って、最初に目にする湖は葦の海だ。葦の海は海抜2140メートル、全長2.2キロの半沼地の湖である。雪の降った後の葦の海はふさふさとする世界になっていく。見渡す限り果てしがない葦の砂浜は、白い霜に覆われ、まだ凍りついていない青い湖と、白い葦の間は、まるで青い翡翠の帯のように、珊瑚ビロードの中に横たわっている。

上流にある真珠灘の滝の激流は、でこぼこの水面に無数の水しぶきをあげて、太陽の光を浴びると、すべてが白く輝く。点々とした水滴は巨大なホタテ貝の中の真珠粒のように、遠くから見れば、河いっぱいの真っ白な真珠が流れているようだ。

真珠灘にはびこっている浅黄色の苔はぬめぬめしておらず、素足で踏むとまるでスポンジのようだ。樹正群海は九寨溝景観区の全湖の約40%を占め、白い雪の中に深い青の色をまとっていて、おとぎ話のように無邪気で自然である。

九寨のエッセンスたる五花海は「九寨溝の一絶」と呼ばれている。あたりの山の斜面は、冬になると一面に真っ白になる。秋のあでやかさが消えても、依然として九寨の一番の見所だ。岸にある幻想的な雪林が池の中に倒影し、水中の流木と互いに引き立ち、静かで神秘的だ。

雪が降ると、九寨溝は天国になる。大雪は惜しみなく降り続き、雪が積もった九寨溝は一面に真っ白になる。いたずらな雪は海子の懐に流れ込んで、瞬く間に一体となって姿を消した。木々も、岩も、家屋も、山の峰も、すっかりと白くなって、まるで幻のようだ。ただ九寨が美しいと知るが、このように美しくできることを知らなかった!

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