贵州では、烙鍋(炙り鍋)の地位は揺るぎないものだ。にぎやかな夜市で、烙鍋を食べれば食べるほど盛り上がる。友人との集まりに烙鍋がなければ、まるで完璧な終わりがないような気がする。
烙鍋の主な調理方法は「烙」、つまり熱した調理器具で食材を焙り熟成させることだ。「烙」は「焼く」のように焦がしやすいわけではなく、「揚げる」のように油を使いすぎることもない。火加減が適切であれば、水分たっぷりで脂っこすぎない、ジューシーかつ滑らかな食感を得ることができる。
「烙」の技を掌握するためには、まず適切な「鍋」を選ぶことが重要だ。貴州では、烙鍋の歴史が長く、広範囲に分布しているため、鍋の形状は多様化している。最も一般的なのは三種類の鍋:平鍋、凹鍋、凸鍋で、それぞれ独特の風味を生み出す。烙鍋は通常、最初に肉類を、その後野菜を焼いたり、中央に肉類、両側に野菜を配置することもある。肉からじゅわっと油が出て、その油が鍋の縁を伝って広がると、油に包まれた野菜も豊かな食感になる。
熱々の土鍋には、ねっとりとしたジャガイモ、ほろほろ豆腐、香ばしいバラ肉、弾力のある鶏皮、さっぱりとしたキュウリがぎっしりと詰まっている。食材を一緒にじっくりと温まり、焦げる心配もなく思い切りお楽しみいただける。
烙鍋を食べる魂は、つけダレにもある。香ばしく辛い唐辛子粉、香り豊かなラードのつゆ、ニンニク風味の唐辛子……これらのつけダレが烙埚の味をより一層豊かで多様なものにしている。食べ物につけダレをつけたら、新たな味覚体験が引き出される。
もちろん、烙鍋は冬に最も適している。一口ずつ食べる温かさは、厳しい冬が暖かな気分に変え、誰も心地よい熱い味わいを感じることができる。
烙鍋は貴州料理の魅力と特徴に溢れ、一種の食べ物であるだけでなく、文化と生活の反映でもある。
寄稿者:南島