花の都「昆明」の四季折々の花を楽しむ旅

01 春の街、昆明

癒しの街、昆明。美しい山水と、静謐な路地。まるで穏やかに過ぎていく日々の生活を描いた油絵のような場所だ。温暖な昆明は一年を通して暖かい陽光が降り注ぎ、花にまつわるあれこれが毎月絶えず。そのどれもがこの街をとても暖かくするのである。

春風が吹き、圓通山の数千株の桜が綻ぶと、まるで霞のようなその風景が人目を奪う。この時期は同時に雲南大学の海棠も盛りを迎える。花の香りと文化の匂いが混じりあったキャンパスをぶらぶらしてみよう。特別な雰囲気に包まれることだろう。

▲海棠


四月になると街中のいたるところでジャカランダが咲き乱れる。教場中路と盤龍江はまるで紫色で編んだ夢に包まれているようだ。ジャカランダの花景色を「遠くから見るに限る」と言い表すなら、ここのアジサイは「近くで愛でる」美しさを持つ花である。郊野公園のアジサイは灼熱の夏に一抹の涼しさをもたらしてくれる存在である。

▲盤龍江 


秋、甸尾村では湖上に生える杉林が広汎に黄色く色づき、濃淡を示しながら、今度は紅葉へと変わっていく。もうもうと立ち込める湖水と合わさり、その様子はさながらこの世の別世界である。

大観楼の菊も金色の花を咲かせる。また、滇池へ向かい西山を望むここは、秋の山紫水明の景色を一望できる場所である。

冬、滇池の湖畔では冬桜の花が枝の一本一本にいたるまで満開となり、黒龍潭公園では盛りを迎えた梅の花がひっそりと佇む。昆明は桃色に染められ、冬の日の空気もどこか暖かく感じられる。

02 昆明は春の街だけでは語れない

昆明の地形と気候は独特である。たっぷりと降り注いだ雨は長い時間をかけて地表を浸食し、岩石を溶かし、大地の形を作りなおすからだ。石林や溶洞(鍾乳洞)などのカルスト地形、浸食作用によって土壌の鉄分が凝結、沈殿、気化して形成された色鮮やかな東川紅土地、絶え間なく流れる水が曲がりくねって集まり、断崖絶壁から飛び出すように流れ落ちる光景、そして、低地に集まった水の流れが形成した湖(なかでも滇池は水面積が最大である)など、ここにはユニークな地理景観が揃っている。

▲東川紅土地 

▲大叠水瀑布

 ▲九郷溶洞

滇池は雲南省最大の大湖である。西岸は西山に接し、山々が湖を囲む絶景を織りなしている。山水が密接に関連したここには、人間の生活の痕跡を早い時期から発見できる。三万年前、人々は滇池周辺で生活を開始し、その数を増やした。紀元前278年になると滇の国が興き、765年には南詔国が東城を開き、昆明建城の先駆けとなった。

▲滇池 

03 生活抜きには語れない街、昆明

昆明を訪れる最も良い時期は二つあると言われる。ひとつはジャカランダが満開の時期で、もうひとつはユリカモメが飛来する時期である。

遠くシベリアから訪れたユリカモメたちは翠湖で羽を休め、春城特有の暖かさを楽しむ。翠湖公園に行って公園内をぐるっと探索し、渡り鳥と戯れる……これも癒しの旅行ではないだろうか。

花が多い昆明では、花の売買も盛んだ。斗南花市は中国ひいてはアジア全体でも最大の生花市場で、雲南に旅行に訪れた人々は皆ここを訪れ、北緯25度の香りを体感するのである。

昆明の街中を歩くと、それまでの自分の認識が次々と覆され、新しい興味関心が湧き起こる。現地の人々が生活を楽しみ、生活を愛しんでいることに気づくことだろう。

一年中四季を通して花が咲く昆明には、鮮花で作った美食もある。雲南の最も代表的なグルメの一つである鮮花餅には、雲南の得難い山水と風土、そして人情が混然一体となって包まれている。

しとしとと降る雨に伴い、色も形もそれぞれ違う茸たちが土から姿を見せ、摘まれるのを待っている。彼らは美味しい料理へと姿を変え、昆明ならではの茸の宴を主催するのだ。

ごく普通の米線(太めのビーフン)だって昆明人の手にかかればバラエティ豊かだ。過橋米線、小鍋米線などなど、バリエーション豊富な品ぞろえは、人々の腹の虫を呼び覚ますのに十分過ぎるほどである。

昆明に滞在するなら、たくさんのものを遊び楽しむだけでは物足りない。ここでは食べ物に街や人々の性格が表れている。その多種多様な生活スタイルは昆明人の気ままさと包容力の表れである。昆明は春のような街、つねに花が鮮やかに咲き誇る街、激動の歴史を潜り抜けながらも変わらず軽快とした街であり、一度来たら離れられない街なのである。

—「環球旅行」より

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