自然パーク都市、成都へバードウォッチングの旅

成都は、バードウォッチングに最適な都市の一つである。『中国生物種名録2023版』によれば、中国には鳥類が1445種類存在し、成都はその40%近くを占めている。この地域固有の鳥も多く、成都では猛禽、林鳥、水鳥など、多種多様なバードウォッチングを楽しむ事ができ、近年では愛好者の数が増加し、成都で新たに発見された鳥の種類も増え続けている。

成都の小学生にも広がるブーム、バードウォッチング達人が続々生れている

小学生3年生の陽陽は、既にバードウォッチング歴2年の経験がある。陽陽が自分で撮影した写真それぞれの鳥の名称や特徴を慣れた口調で紹介していく。 現在まだ8歳だが、270種類の鳥をウォッチしており、中には貴重な種類の鳥も含まれている。 陽陽がバードウォッチングを始めたのは母親の影響が大きいという、母親の劉畅さんは、成都自然科学啓発機関「郷野走廊」で勤務しており、バードウォッチングは仕事上のプロジェクトの一つでもある。

乡野走廊という組織は、成都のバードウォッチング文化の発展をサポートしてきた。 同組織の責任者である蒋志友によれば、乡野走廊が設立された2016年に開催されたバードウォッチングイベントの参加者は100人程度であったが、2017年には数百人、2018年以降は1000人以上がイベントに参加してくれている。 現在までにのべ4万人以上が様々なバードウォッチングイベントに参加している。

甲百花潭や浣花溪とは別に、若手のバードウォッチング愛好家たちが最も好むスポットは龍泉山である。2020年から、成都の猛禽研究チームが龍泉山で猛禽の監視プロジェクトを始動し、春と秋の渡り鳥の期間にバードウォッチングイベントを定期的に行っている。標高1000メートル以上の山頂では、ワシやタカ、ハイタカ、ワシミミズクなどの猛禽が群れをなしており、「ワシの川」と呼ばれている。 左右上下にワシが飛び交う「ワシの柱」と呼ばれる光景がしばしば見られる。ボランティアは定期的に小中学生が参加しており、小学校低学年の一人のボランティアが責任を担うときもあるとの事。

無数の鳥が飛来する公園都市

成都平原は、天然の公園を形成している。成都周辺の山々は数百メートルから数千メートルの標高があり、多くの固有の植生を持っており、さまざまな生態環境に生息する鳥たちに豊かな生息地を提供している。

水と山、自然環境にとって重要な要素であり、成都平原における水の資源は非常に豊富で、700平方キロメートルを超える水域が数え切れぬほどの魚や微生物を養い、鳥たちに豊富な食物源を提供している。

成都では、「川西林盤」と呼ばれる独特な居住・生活様式が形成されており、広大な成都西部の田園地帯に分布している。川西林盤はまるで縮小版の都市公園のようであり、村の家屋や森林、灌木、田畑、農業、水系などがあり、鳥や昆虫に豊かで秘密の環境を提供している。

たとえ成都の市街地であっても、比較的豊かな灌木や樹木が依然として残されており、池には茂みの荷花や葦、水草などの水生植物が茂っている。それに加えて、成都では夜に多くの雨が降り、気候は湿気ており、万物が容易に生育する環境を提供している。こうした環境はさまざまな森林鳥や水鳥にとって豊かな生息地となっているのである。

これらの条件が重なり、成都におけるバードウォッチング活動が急速に発展することになった。数百種類もの鳥類が惹かれる優れた自然環境だけでなく、もっと重要なのは、自然を楽しむことが成都の都市文化の重要な一部であることだ。儒家の「天人合一」の生活観や道家の「道法自然」の生態観が、この都市の自然環境作りに早くから溶け込み、成都の人々の日常生活様式となっている。

人に快適都市は、鳥とっても優しい都市

成都を訪れてバードウォーク(バードウォッチングとウォーキング)を楽しんでみると、この街の自然の豊かさをより深く感じることができるだろう。そんなに遠くにまで行かなくても、成都の百花潭や浣花溪では、白鷺が飛び、アオサギが木々に群がり、カワセミが魚を捕る光景や、ルリビタキやシロハラジロビタキ、ベニマシコ、ボウセキチョウなどの小鳥たちも至る所で見られる。

今日において、成都だけでなく多くの都市でバードウォッチングの熱が高まっている。上海では市民のバードウォッチング大会、南京では「震旦杯」のバードウォッチング大会、深圳福田では青少年向けのバードウォッチング競技会、そして粤港澳三地でのバードウォッチング大会など、あちこちで盛んに行われるバードウォッチングの活動は、鳥が都市の快適さに与える重要性に人々がますます気づいていることを意味している。

「私たちはより多くの若者や親子連れに自然体験してもらいたいと願っています。若者が自然を理解し、尊重し、愛することで、将来、人間と自然の利害が衝突した際に正しい、先見の明のある決断ができるようになると信じています」と、郷土の道案内のボランティアが語ってくれた。

寄稿者:飛鳥

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