崑崙山の北麓、パミール高原の南面、タクラマカン砂漠とブグリ砂漠のあいだに、三千年の歴史を刻む古都——莎車(シャチェ)が佇んでいる。
もしカシュガルが南疆の顔だとすれば、莎車はその“古い面影”のような存在だ。静かで、素朴で、どこか時間が止まったように穏やかだ。“砂漠の中の宮殿”と呼ばれるイェルチャン・ハン王宮に足を踏み入れると、青と黄の文様が織りなす装飾と中庭式の構造が、濃厚なウイグルの香りを伝えてくる。だが、この地の本当の魂は、宮殿の中に響く「十二ムカーム」にある。歌・舞・音楽が一体となった芸術の宝であり、ほとんどすべての莎車の人々がその一節を口ずさむことができる。それは、生活であり、歴史の呼吸でもあるのだ。


アマニシャ・ハンはかつて楽師たちとともにムカームを整理し、その体系を確立した人物だ。彼女の霊廟はイェルチャン・ハン王陵のすぐ隣にあり、十三人のハン王とその家族たちが静かに眠っている。王宮を出て、鳩に餌をやり、陽だまりに身をゆだねる——それが、莎車という街の穏やかなリズムなのだ。


莎車の文化は、決して宮殿の中だけにあるわけではない。夜市の灯りがともると、再びムカームの音が響き、人々は誰でも舞台に上がる——踊れなくても、輪になって回ればそれでいい。街角のチャイハネでは、一壺のお茶と一枚のナン、たった2元の午後のひとときが、いちばん素朴な幸せを映し出す。路地を歩けば、家々のカラフルな扉がまるで調色パレットのように鮮やかで、それこそが莎車の人々が描く“暮らしのロマン”なのだ。


彼らの踊りや笑顔は、もしかするとこの果てしない大地から生まれているのかもしれない。足元には砂漠とオアシスが広がり、目の前には雪山と牧場が連なる。陽光はほとんどすべての陰りを追い払い、鳩でさえこの土地を離れたがらない。

ここでは、新疆全土に名高い焼き鳩が味わえる。果木の香ばしい煙が、カリッと焼けた皮とジューシーな肉を包み込み、鳩のラーメンやヨーグルトと合わせれば、言葉にならないほどの美味しさだ。街角には、焼き包子、羊肉の串焼き、ナン、アーモンド——どれも欠かすことのできない味が並ぶ。ナン窯の炭火は絶えることなく、香ばしい匂いが風に乗って街中を漂っている。


莎車のリズムは、世界の喧騒から何千キロも離れた場所にある。人々は踊り、茶を飲み、陽の光を浴びながら、まるで時間そのものがゆっくりと流れているかのようだ。
いつか時間ができたら、ここに来て一杯のお茶を飲んでみてほしい。
























