深セン、摩天楼の都市と地元の生活

深センのトップに君臨している高さ599メートルもの平安国際金融センター、高さ441メートルの京基100ビル、高さ393メートルの「春笋(春のたけのこ)」、中国の電子街「華強北」のランドマークとして君臨してきた高さ355メートルの「賽格広場」、三日間で一階が完成した160メートルの国貿ビル。こうした高層ビルは他の場所からこの地からやってきた人々の生活ペースが最も速い都市といわれる深センに対する思い込みを引き起こした。そして、この都市に対する誤解を深めている。深センには高層ビルしかなく、暮らしがないと思われている。

鵬城ともいわれる深セン

鵬城は、深センの別称である。「鵬」というものについて中国古代学者である荘子は、一日に九万里も飛べる巨大な鳥だと述べた。つまり、深センのように、わずか40年間で人口30万に過ぎなかった小都市から2000万もの人口を有する超大型都市になったことを形容している。

深センには歴史がないという人がいるがそんなことはない。東晋の時代に遡ると、深センには1700年もの歴史がある。移民ブームで計算すると、人間は2200年前にこの地で暮らし始めた。移民都市として秦の時代から六回以上移民ブームが起きた。

1979年、中国の改革開放政策はこの地で施行され、複数の中国史上最初の物事がここで次々と誕生した。例えば、中国初の株式会社、中国初の弁護士事務所、中国初の独資銀行である「招商銀行」、中国初の保険会社である「平安保険」、中国初の証券取引所などは全てこの地で創立された。中国人は深センをGDP2億未満から2.4万億以上への成長、アジア都市圏経済規模ランキング上位五位にランク付けさせるなどの「中国の奇跡」をどんどんと起こしている。

都心部のない深セン

厳密に言うと、深センには都心部が無いが、各区画にはそれぞれの中心部がある。これは、各副都心が都心部を形成し、やがて巨大都市になるという米国のロサンゼルスとよく似た構造である。

福田-羅湖中心部、前海中心部、塩田中心部、龍華中心部などは「三つの軸、二本のベルト、複数の中心部」という都市空間構造を形成しており、各市街地にも中心部がある。これらの中心部とエリアは世界各地からの人々を受け入れている。中国にいる半分以上の人が多かれ少なかれ深センと関わっていたと言っても過言ではない。

羅湖は深セン人にとっての旧都心である。三日間で1階が完成した国際貿易センターの建設スピードは「深センスピード」として知られるようになった。かつては「深セン川」と「深セン墟」(墟は市(いち)の意味)を中心に栄えていた。

福田は深センの中心業務地区(CBD)である。深センの「シャンゼリゼ通り」といわれる深南大通りには招商銀行本部、平安金融中心、深セン証券取引所などが林立している。さらに賞賛に値するのは、こうした高地価エリアに意外にもこれまで世界最大の書店である中心書城やコンサートホール、図書館が建てられたことである。これらは文化の黄金三角地帯をなしている。

そして、南山は中国の「シリコンバレー」と呼ばれている。187平方キロメートルに過ぎない地帯だが、148社の上場企業が受け入れられ、6103億元のGDP(深センGDP総額の五分の一)を実現している。

さあ、深センでショッピングを

深センは本当にショッピングを満喫できる都市である。長さ250メートル、幅3~4メートルの「中英街」は細長い通りだが、中国「一国二制度」の現実的モデルと言っても過言ではない。ピーク時には10万人が集まっていた。

中英街は深南路から始まり、紅茘路にある華強北までで、「中国電子の第一の街」と呼ばれている。高さ355メートルの賽格広場はこの街にある。宇宙センターに立ちたいなら、「中粤海街道」がお勧めだ。芸術的な感性を養いたいなら、数え切れないクリエイターが活躍している大芬村に是非行ってみよう。

深センは高層ビルの他、市街地、山脈、渓流、湖沼、森林、野原、古村、海洋、島嶼部そして中国で一番美しい海岸を有している唯一の都市である。

大鵬半島は「中国で最も美しい八大海岸」と雑誌『中国国家地理』によって評価されている。海岸東部にある大小梅沙では、心が奪われるほどの美景が一面に広がり、カモメが群がっている。

梧桐山、仙湖植物園は深セン人が週末によく行く場所である。そして、深セン湾北岸にあるマングローブ自然保護区は、全国唯一の都心部に位置する国家レベル自然保護区であり、十万羽もの渡り鳥がここに生息している。

深センでは美味しい料理もある。漁文化と客家料理が味付けを演出している。客家人の大鍋の料理は鶏肉、鴨肉、魚肉と魚介類を重ね、汁が混ざり合い、その味わいは尽きない。光明乳鴿(ハトの若鳥)は皮がカリカリとして肉が柔らかく、骨が美味しくて溢れ出す汁がいっぱいである。

深センを再び見ると、ここには歴史、文化、美味しい料理だけでなく人々の生活もあることがわかる。

 —「九行」より


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