まさに夏のお出かけシーズンの今日この頃、異国情緒に満ちたお宝ものの旅行地をご紹介しよう。そこはヨーロッパではないけれど、随所でゴシック風のスタイルやフランス古典主義、イタリアのルネサンス式など、ヨーロッパ風の建築を見ることができる。また、そこはモンゴルではないけれど、市街地から一歩外に出れば広々として果てしがない草原を感じることができる。その異国の風情が満ち溢れる小さな町とは、中国最大の陸運の港、満州里である。
01 異国情緒が充満する辺境の小さな町
満州里は神秘的な色彩と充満する異国情緒を備えた辺境の小さな町だ。中国、ロシア、モンゴルの国境が交わる辺境都市であり、風が草を揺らし牛羊が見える草原のなかの真珠である。ここには辺りに散らばる美しい城や砦、十数層の高さがある巨大なマトリョーシカがある。同時にここは中国と外国の著名な「東アジアの窓」でもあり、全国最大の陸運の港町でもある。
満州里の街を歩くと、まるでアンデルセンの童話の世界に入り込んだようだ。街のあちこちにある「城」や「砦」は様々な色のコートを羽織り、可愛らしい「とんがり帽子」や「玉ねぎ頭巾」を被っていて、深い藍色の空との対比で眩しく煌めいて見える。異国情緒ある建築群は距離を感じさせない。却っていっそうの暖かさを感じるぐらいだ。
とはいっても、いちばん見過ごしてはいけないのはやはり満州里の夜景である。ここの夜は「金碧輝煌」と称されるだけある。夜の帳が降りるたびにイルミネーションと月が共に輝きだし、街中に金メッキを施すのである。
02 国境を跨がずに世界の風情を見て回る
/套娃広場/
套娃広場はなんといっても満州里の代表的な観光スポットだ。全国で唯一マトリョーシカをテーマにした広場として、ここでは中国、ロシア、モンゴルの三国国境が交わる地域の特色と風情が体現しつくされている。ここにあるマトリョーシカの世界に入ると、巨人の国に身を置いているのではないかと錯覚してしまうことだろう。ここのマトリョーシカはひとつひとつにすべて違ったデザインが施されている。その内に込められている歴史物語を理解するためには、じっくりと掘り下げて見てみないといけない。
ロシア民俗体験館では、次々と姿を現す美しさを目にできるロシア・スロー・サイクリングや、着せ替えマトリョーシカ、マジカルおきがえなどが体験できる。ロシアのきらびやかで美しい多彩な文化的魅力が十分に表現されていて、ひと味違ったロシアの民俗風情を出国することなしに味わうことが出来る。
とはいえ、おすすめはやはりロシア大サーカス演芸劇場だ。この劇場はヨーロッパ・バロック時代建築の風貌で、古代ローマのコロッセオの円形レイアウトを採用している。また、ここでは国際的なプロの演者たちのパフォーマンスを見ることができ、いたるところでトップレベルの真のサーカスの魅力を感じることができる。絶対に値段以上の満足感を得られる、そんなおすすめスポットだ。
/鷹山大教堂/
満州里東山植物園の丘の上にはゴシック式の赤い建物が屹立している。それが鷹山大教堂だ。参観可能なヨーロッパ式の婚礼宮とも呼ばれている。ここはアジア最大のキリスト教会で、そのてっぺんまでの高さだけで60メートル近くもある。大教堂が立っている位置は満州里市街区の最高点なので、ここに来て登るだけで満州里の街全体を上から眺めることができる。
とはいえ、ここに来るなら夕方ぐらいがおすすめだ。夕日が沈んでオレンジ色に色づく満州里を見ることができるだけではなく、ライトアップされた婚礼宮を見ることもできる。この時分、街全体が真珠のようにキラキラと光り輝き始めるので、とても美しい夜景を眼下に収めることができるのだ。
/呼倫湖/
もし時間がたっぷりとあるなら、レンタカーを借りて、満州里の隣りにある呼倫湖に行ってみよう。呼倫湖は内モンゴル一の大湖であり、濃い青色の湖水と蒼天とが交わり一線となっている。その美しさはいくら見ても心に収めきれないほどだ。車で1時間程度しかかからないのも重要なポイントだ。
満州里の町を出ると、一路広がる風景は極めて美しい。また、尽きることない大草原も広がっている。もし運がよければ、草を食んでいるラクダに出会うことだってできるかもしれない。
03 満州里で食べるとは食物連鎖の頂点に立つことを意味するのだ
盧布里西餐庁
もし満州里旅行でロシア風の景色を体験してみたいなら、ロシア料理はベストチョイスに違いない。今回おすすめする盧布里西餐庁は満州里の人気レストランだ。しかも毎年「フルンボイル西洋料理評価ランキング第一位」の座を占めているお店でもある。
レストランに入るとすぐに濃厚なロシアの味わいが感じられる。ロシア風の赤いロングスカートを身にまとったロシア人の女の子がやってきて、美しくかつ熱心にサービスしてくれる。レストランの飾り付けはとても手が込んでいて、盛り付け、陳列、それに気品に至るまで、まさにロシアである。ほかにも、二階には個室や特別席があり、まさに「絵の中で食す」の境地を感じさせてくれる。
おすすめメニュー:盧布里のチーズ・ペイストリー、特製ポテトチップス、ウクライナ・ボルシチ、ロシア式炭火焼ソーセージ
諾敏塔拉ミルクティー
住所:六道街現代花園小区5号楼14号
内モンゴルに来たからには、正真正銘のモンゴル料理も試してみないわけには行かない。今回の掘り出し物は、現地の人ならみんな食べに来るチェーンレストラン「諾敏塔拉」だ。店に来たらぜひ試してみたいのは、ここの特色ある看板メニュー「鍋茶」だ。金色の炒米と香り濃厚な干し牛肉、そして芳醇な奶皮(発酵させた牛や馬のミルクに形成される薄皮)などの食材を鍋に入れ、何度も炒めたあと、最後に再び牛乳と磚茶(蒸した茶葉をレンガ状に固めたもの)を入れ、弱火でゆっくりと煮込む。ぐらぐらと滾るまで沸騰すれば完成だ。鍋茶1つで3、4人ぐらいなら十分に分けられるぐらいの分量だ。
おすすめメニュー:紅豆酸奶糕(小豆とヨーグルトのアイス)、奶渣餅、布里亜特包子
満州里は異国の風情溢れる小城に満ち、いたるところで童話の世界のような色彩を目にすることができる。今年の夏はぜひここを訪れ、自分の目で一目見てみよう。
—「歩いてみる旅ココ」より